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自律的管理とは

2024年4月1日より厚生労働省は、化学物質による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則等の一部を改正しました。今回の法改正における「自律的な管理」について、もう少し深く説明したいと思います。

「自律的な管理」の背景

国際的には、全ての危険性、有害性のある化学物質において、化学品の分類及び表示に関する世界調整システム(GHS)により、ラベルの表示、安全データシート(SDS)の交付を行うことがルールとされています。また、欧州では一定量以上の化学物質の輸入・製造について、全ての化学物質が届け出対象となり、リスクに基づく管理がおこなわれています。

一方、わが国では、輸入、製造あるいは使用されている化学物質は数万種類に上るにも関わらず、化学物質による事故が後を絶たない状況で、これまでの「個別規制型」のみでは、規制対象物質の数が限られており、規制対象外物質を起因とする事故が約80%という割合で発生していました。このようなことが背景となり化学物質による労働災害を防ぐための検討会が開かれ、職場における化学物質等の管理の在り方について検討され「自律的管理」を基軸とした管理へ見直しされました。「自律的管理型」への移行は事故を減らすための新たなアプローチとしてスタートしています。
労働安全衛生法における新たな規定に適切に対応するためには、この「自律的管理」が意味するところについて理解する必要性があります。

自律的な管理とは?①

リスクアセスメント結果等を踏まえ、ばく露低減のための適切な手段を事業者自ら検討し、国が定めた管理基準を達成すること、また事業者にはその結果責任が求められます。

国が定めた管理基準

・リスクアセスメント対象物に対し、労働者のばく露程度を最小限度としなければならない義務

・濃度基準値設定物質に対し、ばく露程度を濃度基準位以下としなければならない義務

自律的な管理とは?②

「自律的管理」とは、労働安全衛生法における義務事項だけでなく、努力義務の事項、さらにはその他事業場の特性に応じた自主的な管理事項をふまえ、化学物質による労災防止にどこまで対応すべきか事業者自ら決定することです。

今回の法改正によって、ばく露を最小限度にする義務が生じる物質はリスクアセスメント対象物に限られる一方、それ以外の物質についても努力義務に定められています。よってリスクアセスメント対象物以外の物質であっても労働災害が顕在化し管理状況等を踏まえた必要な配慮がなされていないと判断された場合は、事業者や管理者の責任が問われる場合もあるのです。

同様にばく露を低減させる措置についても本改正では、濃度基準値以下とすることに加え、最小限度にすることが定められています。この最小限度の具体的な基準が規定されていないことから、「最小限度といわれる基準」を、事業場の特性を踏まえ「事業者自身で規定し必要な配慮を行う」必要があるのです。

参考資料: 新たな化学物質管理(厚労省)
     労働安全衛生法における化学物質管理の全体像(厚労省)

また、法改正の概要は過去のコラムで記載しておりますのでご参照ください。

                                 

長年、米国を代表する防護服のグローバルメーカー「Lakeland Industries,Inc」の日本市場における総代理店として、同社製品の国内販売を手掛けてきた原田産業㈱セーフティープロテクションチームでは、この度、化学物質名またはCAS番号から耐透過性試験結果データと化学物質に適した防護服選定できる検索ページを開設いたしました。「リスク低減措置」において、有効な保護具着用の選定にお役立ていただければ幸いです。