ファインガードプロ®エアクール防護服開発

このところ35度を超える異常気温の日が多く、今年の7月は猛暑日日数の最多記録を更新したとの発表もありました。

このような酷暑の中でも作業をされている方々がいらっしゃいます。

私たち原田産業セーフティープロテクションチームは夏場の過酷な現場で働かれる方々が少しでも環境を改善でき、快適に作業できる環境作りをすることをミッションとして商品を改善、開発しております。

今回は、酷暑となる現場で少しでも快適にかつ安全に作業いただく為に開発された、原田産業オリジナル商品「ファインガードプロ®エアクール防護服」が製品化されるまでについて振り返ってみました。

 

きっかけ

ある日、現場作業されている方が防護服に穴を開けて、その中にコンプレッサーのホースを突っ込んでいる光景を目にしました。コンプレッサーから出てくるエアーで衣服内にこもった熱や蒸れを解消させていたのです。

当然、密閉型防護服に穴を開ける事は密閉で無くなります。しかし、作業者が熱中症で倒れられるわけにもいかず、現場責任者もこの状況に頭を抱えていました。

そこで、このような現場課題に直面した私たちは「空気を循環させる防護服」の開発を進めることになったのです。

企画における課題

開発を進める上で大きく3つの課題がありました。

  • ①エアチューブと防護服の結合
  • ②防護服内チューブへのこだわり
  • ③企画と製造とのギャップ

①エアチューブと防護服の結合

チューブと防護服をつなげるためには、カプラというエアチューブの結合器具(コネクター)を用いるのですが、「カプラをどのようにして防護服のような柔らかい生地に固定するか?」が課題となりました。様々なカプラを購入後、カプラが防護服にしっかりと固定できる方法を何度も実験しました。

②防護服内チューブへのこだわり

単に空気が防護服内に流れればよいというわけではありません。私たちは現場で作業する際にいかに作業性、安全性、快適性を担保できるかにこだわりました。

チューブ材質

衣服内でチューブが折れてしまうと、エアーが流れません。柔らかすぎず、かつ動きを損なわない柔らかさを保持できる材質を選択する必要がありました。PVC、PU、PE等、色々な材質のチューブを選定し実験・検討しました。

エアチューブの太さ

太すぎると風圧が下がり、エアーの流れが弱くなり全体にエアーが流れません。逆に細すぎると風圧が強すぎて一定ヵ所に集中してエアーがあたってしまい作業者に違和感が生じてしまいます。絶妙なチューブの太さを模索し、何度も実験を繰り返しました。

穴の大きさ

衣服内チューブには一定間隔で穴を開けており、そこからエアーが衣服内全体に排出されます。穴の間隔・大きさを変え何度も試し、現在の仕様に至りましたが、この穴の大きさや間隔にも非常にこだわった点です。

エアチューブ設置位置

初期の商品は上半身のみにタスキ掛けのような状態で衣服内チューブを設置しました。お客様からは一定の評価は頂いているものの、これだと下半身にエアーが行き渡りにくく中途半端という意見が挙がってきました。そこで、股下まで衣服内チューブを延長することで、衣服内全体にエアーが行き渡るような仕様にたどりつきました。

③企画と製造とのギャップ

防護服の製造は海外の製造委託工場にて製造しています。本開発において各部品の材質も含め、「涼しさ」という感覚的な要素が非常に重要な商品であったため、現地工場を訪問してこの商品の主旨から説明し、製造工場と当社の思いを統一させることから行い、現地での部品探しにも時間を要しました。

何度も何度もサンプルを作成し、その都度日本のお客様に現場ご評価頂きました。我々も現場に立ち合い、また、我々自身も現場で試着し体感し、今の仕様に落ち着きました。

最後に

この商品の完成までには、上記のような課題・こだわりへの取組などにより当初の予定よりも1年以上大幅に時間を要しました。毎年使用していただいているこの商品は、お客様、仕入先、関連会社の御協力が無ければ完成しなかった商品なのです。

これからも、当社は現場の声に耳を傾け、現場の問題を一緒に解決する商品開発に力を注いでいきますので、問題解決のご要望があればお気軽にお声をおかけください。